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2026年版 東京23区 民泊関連法規完全ガイド

住宅宿泊事業法(民泊新法)、簡易宿所、特区民泊、各区の規制を徹底比較

情報基準日:2026年6月20日

本記事は「東京での不動産購入を検討し、民泊運営も視野に入れている方」に向けてまとめたものです。日本の民泊制度の全体像、各区で営業できる日数、2026年における最新の変化、そしてすでに営業実績のある民泊物件を購入する際のリスクについて、できるだけわかりやすく解説します。各区の情報には公式サイトへのリンクも掲載しています。

一、2026年時点での最重要ポイント

1. 「年間180日」はあくまで全国共通の法律上の上限であり、実際に180日営業できることを保証するものではありません。区によっては週末や長期休暇のみ、あるいは年間約120日、約63日に制限されている場合や、新規開業自体が禁止されている場合もあります。

2. 同じ区、同じ通り、さらには同じ間取りであっても、合法的に営業できる日数がまったく異なるケースがあります。用途地域、文教地区・学校周辺の規制、管理規約、届出の「正式受理日」、名義人や管理体制などによって条件が変わるためです。

3. Airbnbに掲載されている=合法とは限らず、届出番号があるからといって、物件を購入すればそのまま事業を引き継げるとは限りません。

4. 2026年の東京全体の傾向:住環境の保護、「家主不在型」への規制強化、近隣住民への事前説明やゴミ・苦情対応の強化、管理者が現場に速やかに駆けつけられる体制の要求、住宅地における新規開業の制限などが挙げられます。

二、日本における合法的な宿泊事業の3つの制度

制度根拠法手続き営業日数の上限ポイント
民泊新法
(住宅宿泊事業)
住宅宿泊事業法届出年間原則180日以内物件が住宅としての要件(原則としてキッチン・浴室・トイレ・洗面設備を備えていること)を満たす必要があります。家主不在型の場合、原則として登録済みの「住宅宿泊管理業者」に管理を委託する必要があります。
簡易宿所
(旅館業)
旅館業法・簡易宿所営業旅館業の許可取得180日の上限なし用途地域、建築基準法、消防法、衛生・避難設備、各自治体の旅館業条例に適合する必要があります。通年営業をお考えの方に適しています。
特区民泊国家戦略特別区域
外国人滞在施設経営事業
特定認定180日の上限なし東京23区内では主に大田区が対象です。原則として1回の宿泊は2泊3日以上とされ、認定取得が必要です。すべての物件が対象になるわけではありません。

年度の考え方:毎年4月1日正午から翌年4月1日正午まで。1泊は原則として正午から翌日正午までを1日として計算します。

公式情報:民泊新法旅館業法特区民泊

三、法規制の変遷(2018年→2026年)

四、2026年 東京における民泊政策の傾向

五、東京23区 区ごとの解説

以下は各区の公式情報をもとにまとめたものです。「営業日数の制限」は多くの場合「正午から正午まで」で計算されます。施行日や経過措置に関わる内容については、必ず正式な受理日をもとに各区へ個別にご確認ください。

千代田区 2026年 新規制

中央区

港区

新宿区

文京区

台東区

墨田区 2026年4月1日 境界

江東区

品川区

目黒区

大田区 特区民泊あり 2026年4月1日 強化

世田谷区

渋谷区 2026年7月1日 境界

中野区

杉並区

豊島区 2026年12月16日 大幅改正

北区

荒川区

板橋区

練馬区

足立区

葛飾区 2026年4月1日 境界

江戸川区 2026年7月1日 新条例

六、東京23区 早見比較表

主な営業日数の制限2026年の新規制/施行日
千代田区形態により異なる。文教地区・学校周辺は厳格あり、2026/7/1(家主不在型を大幅強化)
中央区週末型(月曜正午~土曜正午は禁止)住民説明+駆けつけ体制の強化
港区家主不在型は学校の長期休暇のみ営業可
新宿区住居専用地域は月曜正午~金曜正午が禁止
文京区日曜正午~金曜正午が禁止(多くは週末型)
台東区現場管理者不在の場合は月曜正午~土曜正午が禁止
墨田区日曜正午~金曜正午が禁止(4/1以降)あり、2026/4/1境界
江東区週末型(月曜正午~土曜正午は禁止)
品川区住宅地は月曜正午~土曜正午が禁止/商業地域は緩やか
目黒区日曜正午~金曜正午が禁止(規制が厳しめ)
大田区学校周辺の家主不在型は平日禁止/特区民泊ありあり、2026/4/1強化
世田谷区住居専用地域は月曜正午~土曜正午が禁止
渋谷区規制対象地域は年間約63日/対象範囲が拡大あり、2026/7/1境界
中野区住居専用地域は月曜正午~金曜正午が禁止検討中(2027年4月頃、現行ではない)
杉並区家主不在型・住居専用地域は平日禁止
豊島区2026/12/16より区内全域で年間約120日、指定期間のみあり、2026/12/16大幅改正
北区全面的な日数制限は未施行(180日基準)検討中(2027年頃、現行ではない)
荒川区週末型(月曜正午~土曜正午は禁止)
板橋区住居専用地域は日曜正午~金曜正午が禁止
練馬区住居専用地域は月曜正午~金曜正午が禁止
足立区住居専用地域は平日禁止/年末年始は別途制限
葛飾区商業地域は180日可/管理者不在のその他地域は平日禁止あり、2026/4/1境界
江戸川区規制対象地域は2026/7/1以降、原則として新規は通年禁止あり、2026/7/1新条例

本表は簡略化した一覧です。実際の制限内容(例外条件を含む)は、必ず各区の公式情報および正式な受理日をもとにご確認ください。

七、マンションで民泊は経営できるのか

たとえ法律や用途地域上は認められていても、以下のようなケースでは原則として経営できません

マンションで民泊の届出を行う際は、通常、管理規約、管理組合の意向、大家の承諾、所有者および共有者の同意、その他の使用細則の有無などを確認する必要があります。

公式情報:東京都・分譲マンションの民泊関連情報

八、営業実績のある民泊物件を購入する際の重大リスク

住宅宿泊事業の届出は、原則として「経営者」を主体とする制度であり、単純に建物に付随するものではありません。物件の売買や経営者の変更に伴い、旧経営者による廃止届の提出、新たな買主による再届出、住民説明のやり直し、管理規約の再確認が必要になる場合があり、その際は「再届出時点」の新しい条例が適用されることになります。

売主が「すでに民泊の許可を取得済み」と説明していても、買主側で改めて次の点を確認する必要があります。実際に適用されている制度の種類、届出・許可番号、名義人、正式な受理日、現在も有効かどうか、違反歴の有無、経過措置の対象案件かどうか、名義変更後も経過措置による優遇が維持されるかどうか。

新旧制度の境界日には特にご注意ください。墨田区:2026年4月1日、葛飾区:2026年4月1日、千代田区:2026年7月1日、渋谷区:2026年7月1日、江戸川区:2026年7月1日、豊島区:2026年12月16日。この境界日の前後どちらで購入するかによって、適用される規定がまったく異なる場合があります。

九、届出番号や許可は引き継げるのか

必ずしも引き継げるとは限りません。民泊の届出、旅館業の許可、特区民泊の認定はそれぞれ異なる制度であり、引き継ぎの条件も個別に異なります。多くの場合、経営者が変わる際には旧届出を廃止し、新たな買主が改めて届出を行う必要があります。また、「再届出を行う時点」によって、より厳しい新条例が適用される可能性もあります。広告に「民泊の許可あり」と記載されている場合でも、制度の種類、名義人、有効性については必ず改めてご確認ください。

十、建築・消防・用途地域について

用途地域上、民泊が認められているからといって、建築や消防の基準に適合しているとは限りません。次の点を確認する必要があります。建物登記上の用途、建築確認資料、用途変更の要否、防火地域・準防火地域の別、避難経路、非常照明、火災報知器、自動火災報知設備、誘導灯、防火区画、階数・面積、無窓居室の有無、木造共同住宅かどうか、地下室の有無、狭あい道路の有無、消防設備の追加にかかる費用。

民泊の所管窓口(区役所・保健所)、建築の所管部門、消防署はそれぞれ異なる部署です。必ず個別に確認する必要があり、どれも省略できません。

十一、住宅ローン・保険・税務上のリスク

十二、購入前に行うべき調査の流れ

  1. 経営制度の確認:民泊新法、簡易宿所、特区民泊のいずれに該当するか。
  2. 所在地・都市計画の確認:用途地域、文教地区、学校からの距離、地区計画、防火地域・準防火地域、建物の用途。
  3. 届出情報の確認:届出番号、届出者、正式な受理日、廃止・変更の履歴、経過措置の適用有無、違反・苦情の記録。
  4. 権利関係の確認:所有権、共有関係、賃貸借契約、転貸の可否、大家の承諾、管理規約、管理組合の決議、信託関係。
  5. 所管機関への事前相談:区役所・保健所の民泊窓口、建築指導部門、都市計画部門、管轄の消防署。
  6. 管理体制の確認:家主が居住しているか、管理者が常駐しているか、緊急時の駆けつけ時間、苦情対応の連絡先、外国語対応、ゴミ処理、清掃管理。
  7. 実際の収益をシミュレーションする(次章参照)。

十三、実際の収益の計算方法(365日や一律180日で計算しない)

合法的に営業できる日数 × 実際の稼働率 × 1泊あたりの平均客室単価
- プラットフォーム手数料 - 清掃費 - 管理業者への委託費 - 水道光熱費 - インターネット費用 - 備品費 - ゴミ処理費 - 消防設備の維持費 - 管理費および修繕積立金 - 固定資産税 - 保険料 - 宿泊税その他の税金 - 近隣対応・緊急対応にかかるコスト

例:ある物件が全国上限の180日まで営業可能な制度に該当していても、所在地の規制で週末しか営業できない場合、収益シミュレーションを「180日フル稼働」で計算してはいけません。実際に合法的に営業できる日数(場合によっては約60~120日程度)をもとに試算する必要があります。

十四、売買契約で検討すべき保護条項

十五、民泊投資に向いている物件/向いていない物件の特徴

向いている物件:商業地域または規制が比較的緩やかな地域に立地している、通年または週末の需要が高い、管理規約で民泊が認められている、消防基準を満たしやすい、駅から近い、所有者自身が居住できる、または近くで管理ができる。

向いていない物件:住居専用地域に立地し通年禁止や新規開業制限の対象となっている、管理規約で民泊が禁止されている、文教地区・学校周辺に位置する、消防設備の改修費用が高額になる、現場での対応ができる管理者を確保しにくい。

十六、まとめ

民泊物件の価値は、建物そのものだけで決まるわけではありません。所在地+用途地域+文教地区・学校による規制+管理規約+建築・消防基準への適合+経営形態+正式な受理日+自治体の条例+管理者の現場対応力、これらすべてが組み合わさって決まります。

同じ建物、同じ通り、さらには同じ間取りであっても、受理日や名義人、管理体制の違いによって、合法的に営業できる日数がまったく異なる場合があります。民泊物件をご購入の際は、必ず一つひとつ調査を行い、所管機関に個別にご確認ください。

十七、公式情報の出典

この物件で民泊ができるか知りたい方へ

住所と図面をお送りいただければ、制度の適合状況、用途地域、リスクについて確認いたします。

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本記事制作者:周欣妤(周周)|株式会社アンドプラス

免責事項
本記事は、国土交通省、厚生労働省、東京都および東京23区の各自治体が2026年6月20日時点で公表している法令、条例および行政情報をもとに作成したものです。地方自治体の条例、施行日、経過措置および行政解釈は今後変更される可能性があります。個別の案件については、具体的な所在地、用途地域、建物の状況、届出日、経営形態に基づき、必ず所管の自治体、消防署、建築部門および管理組合に個別にご確認ください。本記事は不動産の購入および事業計画の参考情報としての提供を目的としており、弁護士、行政書士、建築士、消防設備士、税理士による個別の専門的助言に代わるものではありません。