物件サイトで「再建築不可」の文字と、魅力的な価格を目にして、「お得な物件を見つけたのでは?」と感じられるお客様は多くいらっしゃいます。答えは、安いのには理由がある、ということです。この記事では、再建築不可とは何か、なぜ安いのか、融資は使えるのか、リフォームはできるのか、そして購入前に必ず確認したい点を整理いたします。
一、「再建築不可」とは何か
一言で申しますと、現在の建物を取り壊した後、同じ土地に新しい建物を建てられない物件のことです。最も多い原因は、建築基準法の「接道義務」を満たしていないことで、敷地が建築基準法上の道路に2m以上接している必要がございます。

よくあるケースは3つです。敷地がまったく道路に接していない、接道が2m未満の旗竿地(通路が細長い)、前面の道が建築基準法上の道路とみなされない、というものです。
よくある誤解を2つ整理いたします。1つ目は、再建築不可でも住めないわけではないこと。現在の建物に住む、売る、貸すことは可能で、取り壊した後に建て直せないだけです。2つ目は、セットバックとは別のものだということ。前面道路が幅員4m未満でも法律上の道路(2項道路)であれば、建物を後退させることで建替えができます。再建築不可は、その条件さえ満たせない状態です。

二、なぜ価格が安いのか
価格の安さは、市場がリスクを織り込んだ結果であり、売主様の厚意ではございません。主な理由は4つです。
① 建替えができないため、建物が古くなると土地の価値が割り引かれる。
② 融資が難しく、買い手が現金購入や個別審査に応じる金融機関に限られる。
③ リフォームに制約があり、増築はできず、大規模な改修も難しい。
④ 売却しにくく、将来の買い手をよく考える必要がある。
ですから、「安さ」は「受け入れられるリスク」とあわせて判断する必要がございます。どの程度安ければ妥当かという一定の割合はなく、立地、建物の状態、接道の問題が解消できるかによって異なります。私が感覚で数字をお伝えすることはございません。
三、住宅ローンは使えるか
お客様から最も多くいただく、そして最も現実的なご質問です。結論は、難しく、個別の審査となり、最終的には金融機関の審査結果によります。金融機関は建物を担保にしますが、再建築不可は担保評価が低く、処分もしにくいためです。フラット35のような制度も、技術基準で原則として接道を求めており、再建築不可の多くは満たしません(最新の規定は住宅金融支援機構および取扱金融機関でご確認ください)。
実務上は、現金購入か、個別審査に応じる金融機関を探すケースが中心です。外国籍の方や非居住者の方は、もともと融資条件が厳しいため、さらにハードルが上がることを前もってご理解ください。
四、リフォームはできるか。2025年4月以降は特に注意
再建築不可の建物は増築できませんが、小規模な修繕や内装工事は一般にできます。ただし、2025年4月から、木造の小規模な建物で従来省略できた審査の範囲が縮小されました。

わかりやすく申しますと、木造2階建ての再建築不可を「安く買って、リフォームすればよい」とお考えの場合、改修範囲が主要構造部の「過半」を超えると、建築確認で行き詰まる可能性がございます。ですから、この種の物件では最初に「どこまでリフォームされますか」とお尋ねしています。
五、再建築不可を解消する方法はあるか
ございますが、どの方法にも難しさがあり、採算が合うかを先に見極める必要がございます。最も直接的なのは、隣地の一部を買い取り、接道幅を2mにする方法です。

ほかにも、私道の位置指定を受ける方法や、特定行政庁に43条第2項第2号の許可を申請する方法がございますが、前者は関係権利者全員の同意が必要で、後者は自治体ごとに基準が異なり、将来も同様の許可が得られる保証はございません。結局のところ、判断の鍵は「隣地が売ってくれるか」で、売ってもらえなければ、建て直せない土地のままです。
六、向いている方、おすすめしない方
| 項目 | 建替え可能 | 再建築不可 |
|---|---|---|
| 建替え | 可能 | 取り壊すと建て直せない |
| 住宅ローン | 通常の条件で審査 | 難しく、現金または個別審査 |
| リフォーム | 一般に可能 | 制約あり。木造2階建ては特に注意 |
| 売却 | 買い手が多い | 買い手が少なく、時間がかかる |
向いているのは、十分な現金があり、長く住む・保有するご予定で、急いで売却する必要がなく、予算は限られているが立地にこだわりたい方、隣地を購入できる見込みがある方です。おすすめしにくいのは、融資が必要な方、短期で売却益を狙う方、隣地や行政手続きに時間をかけられない方です。投資用の場合は、出口を考えておく必要がございます。
七、購入前に必ず確認したい5つのこと
1. 道路の種類:重要事項説明書で、接道する道路の種類と幅員を確認する。 2. 実際の接道幅:図面だけでなく現地で2mあるかを確認する。 3. 自治体の建築担当窓口への確認。 4. 隣地の購入可否と、私道の通行・掘削承諾。 5. 建物の状態と出口:改修範囲(木造2階建ては特に過半に注意)と、将来の売却先。
「再建築不可」と書かれていても、一律に見送る必要はございません。先にリスクを見極める方がいてこそ、引き受けるかどうかを判断できる物件も多くございます。気になる物件がございましたら、URLや図面を送っていただければ、日本語と中国語で一つずつ確認し、融資の可否やリフォームの範囲も先に確認いたします(本記事は一般的な情報の整理であり、建築の可否、許可申請の可否、改修範囲は特定行政庁および建築士の判断によります。融資は金融機関の審査結果により、税務は税理士、登記・契約は司法書士・宅地建物取引士にご確認ください)。
周周・日本の不動産