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民泊関連法規

民泊・マンスリー・一般賃貸・旅館業許可:同じ物件で四つの収益モデルはどう違うのか(2026年新規制以降)

執筆者:周周執筆 2026-08-17
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物件をご覧になったお客様から「この物件を民泊にすれば、より収益が上がるのではないか」というご質問をいただくことがございます。これは利回りの比較というより、「事業を営むのか、賃料を受け取るのか」という選択の問題でございます。

同じ物件でも、運用方法により収入構造、運営負担、法規制リスク、そして将来の売却のしやすさが異なります。四つに分けてご説明いたします。

1. 一般賃貸:最も単純で安定的

2年間の賃貸借契約を締結し、月額賃料を受け取る形式です。設備の修繕を除けば、日常的な対応はほとんど発生いたしません。管理会社に委託されれば集金や入居者対応も不要となり、委託料の相場は賃料の5%程度でございます。

収入の上限は固定され、繁忙期に増えることはございません。一方でキャッシュフローの予測が立てやすく、金融機関の評価も得やすいため、融資条件は最も有利になる傾向がございます。

現在の東京の賃貸市場は貸主側に有利な状況です。三井住友トラスト基礎研究所「マンション賃料インデックス」によれば、2026年第1四半期の東京23区の賃料は前年同期比6.7%上昇し、14四半期連続で過去最高値を更新しております。

2. マンスリーマンション:中間的な選択肢

家具・家電付きで、週単位または月単位でお貸しする形式です。出張、赴任、研修、リフォーム中の仮住まいなどが主な需要で、法人契約も少なくございません。

賃料水準は一般賃貸より高く、東京23区の1K〜1DKで1ヶ月あたり14万〜18万円程度が相場でございます。短期・家具付き・敷金礼金不要という利便性に対する上乗せ分と言えます。

ご留意いただきたい点が二つございます。一つは稼働の空白です。短期の入居者が退去された後、次のご契約まで期間が空く可能性があり、月額単価の高さが年間収入に直結するとは限りません。もう一つは初期投資で、家具・家電・寝具・清掃・通信環境をご負担いただく必要があり、これらは減耗いたします。

適する立地は明確で、オフィス街、大規模病院や大学の周辺、交通結節点などでございます。立地が合わない場合、短期需要そのものが存在いたしません。

3. 民泊:上限は高いが制約も多い

住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊は、年間180日が営業日数の上限でございます。起算は毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までで、実際に宿泊者が宿泊した日数を数えます。

つまり満室が続いたとしても、年間の半分は民泊として営業できません。残りの期間の運用をどうするかが、民泊投資における最も現実的な課題でございます。マンスリーとの併用が一般的ですが、二つの事業を同時に運営することを意味いたします。

第二の制約として、各自治体が独自に上乗せ条例を定めることができます。東京23区では、新宿区は住居専用地域における平日の営業を認めておらず、金曜正午から月曜正午までに限られるため、実質的な営業日数は100日前後となります。渋谷区および世田谷区は住居専用地域での民泊を禁止しております。したがって民泊の可否は法律ではなく、所在する区と用途地域により決まります。ご購入前の確認が不可欠でございます。

第三に、家主不在型の場合は住宅宿泊管理業者への委託が法律上義務付けられております。委託料に加え、清掃費、備品費、予約プラットフォームの手数料が収益を圧迫いたします。

市場全体を見ますと、事業からの撤退も少なくございません。観光庁の統計によれば、2026年1月15日時点で全国の民泊の累計届出件数は59,427件、うち廃止が21,315件、現在営業中の届出住宅は38,112件でございます。約3件に1件が既に撤退している計算となります。

4. 2026年7月、民泊の選択肢はさらに狭まりました

近年民泊のご検討を始められた方に、必ずお伝えしている点がございます。2026年7月15日、観光庁は全国の自治体に対し技術的助言を発出し、自治体が条例により「ゼロ日規制」を実施できることを明確化いたしました。これは営業日数の制限ではなく、区域を定めて新規の住宅宿泊事業そのものを禁止できるというものでございます。

従来、国は区域を定めた全面的な禁止は適当でないという立場でしたので、今回の通知は方針の転換にあたります。同通知では、騒音計による測定や玄関カメラの設置・一定期間の記録保存といったICTを活用した管理体制を条例で求めることも認められました。運営コストは実質的に上昇いたします。

⚠️ 今回の変更を一言で申し上げますとこれまで:法律上の上限は180日、条例はそれを下回る範囲での制限。
現在:180日はあくまで法律上の上限であり、実際の営業可能日数は当該区域の条例次第、場合によっては0日。既存の物件が重大な問題を生じさせている場合には、新規・既存を問わず禁止し得る旨も示されております。

既に運営されている方には負担であり、これから参入をご検討の方には、民泊の法規制リスクが数年前より一段高まっているという注意点でございます。

5. そのため現在は、旅館業許可を取得済みの物件が求められております

民泊が年180日に制限される一方、通年365日の営業が可能な方法がございます。旅館業法に基づく許可、すなわち「旅館・ホテル営業」または「簡易宿所営業」の取得でございます。許可を取得していれば住宅宿泊事業法の180日制限は適用されず、条例による日数制限の影響も受けません。

ただし取得の要件は容易ではございません。

📋 旅館業許可の取得に必要な三つの要件① 用途地域——第一種・第二種低層住居専用地域では、旅館業に係る施設の建築が原則として認められておりません。

② 構造設備基準——簡易宿所営業の場合、客室の延床面積は原則33㎡以上(宿泊者数を10人未満とする場合は1人あたり3.3㎡以上)とされ、換気・採光・照明・防湿・排水・入浴設備にも基準がございます。

③ 保健所・消防への対応——玄関帳場またはこれに代わる本人確認の方法、消防設備、学校等の周辺施設との距離など、細目は自治体の条例により異なります。行政書士のご支援を得たうえで、数ヶ月単位のお時間を要するのが通例でございます。

要件が厳しいがゆえに、「既に許可を取得しており、建物自体が基準に適合している」物件は希少でございます。近年、投資をご検討のお客様からのご質問は「この物件で民泊が可能か」から「許可を取得済みの物件はないか」へと変わってまいりました。

実務上、誤解が生じやすい点を申し添えます。物件をご購入されても、許可がそのまま承継されるわけではございません。旅館業許可は営業者に対して与えられるもので、建物に付随するものではないためでございます。2023年12月の法改正により、事業譲渡・法人の合併・分割による承継については、都道府県知事の承認を受けることで新規取得によらず承継が可能となりましたが、建物のみをご購入され事業を承継されない場合は、原則としてご自身の名義で改めて許可を取得していただく必要がございます。

もっとも、建物が既に構造設備基準を満たし、用途地域も適合している場合、改めての許可取得に要する手間と期間は大幅に軽減されます。この点こそが、当該物件の価値でございます。個別の適用関係につきましては、行政書士および所轄の保健所にご確認をお願いいたします。

6. 四つのモデルの比較

一般賃貸マンスリー民泊旅館業許可
収入の上限低中高(180日制限あり)高(通年365日営業可)
収入の安定性高中低(繁閑差あり)中(繁閑差はあるが日数制限なし)
運営の負担小中大(事業運営に相当)大(宿泊事業の運営)
初期投資ほぼ不要家具・家電家具・家電+備品+届出家具・家電+備品+許可申請費用
法規制リスク低低高(法令・条例が変動)中(180日・ゼロ日規制の影響を受けない)
融資の受けやすさ比較的容易個別判断難しい個別判断(許可と運営実績があれば相談しやすい)
将来の売却買主が最も多い中程度買主が限られる買主は限られるが需要は集中・希少性が高い

7. 見落とされやすい管理規約

以上は法令と条例のお話ですが、分譲マンションにはもう一段、管理規約という規則がございます。管理規約において宿泊事業を禁止しているマンションは非常に多く、商業地域に所在し法令上は民泊が可能であっても、管理組合が認めなければ実施できません。

✅ ご確認の順序:三段階すべてを満たす必要がございます用途地域 → 自治体の条例 → 管理規約
旅館業許可をご検討の場合も、管理規約の確認は同様に必要でございます。物件のご案内時に、この三点を併せて確認いたします。

8. 私の考え

海外にお住まいで日本への渡航が限られる方には、まず一般賃貸からのご検討をお勧めしております。運営の手間が最も少なく、金融機関の評価も得やすく、将来的に運用方法を変更することも可能であるためです。反対に、民泊にしか適さない物件を取得された場合、一般賃貸への転換が困難となる場合がございます。

民泊を前提とされる場合、物件選定の基準そのものが変わります。用途地域、条例、管理規約、駅および観光動線からの距離、管理業者の有無が、利回りより優先されます。加えて、残る半年の運用方針を事前にご決定いただく必要がございます。

マンスリーマンションは、立地が適合する場合に限り成立する選択肢とお考えいただくのが妥当でございます。

宿泊事業をご目的とされ、かつ営業日数の制約を避けたいというご意向であれば、既に旅館業許可を取得済みの物件からお探しになることをお勧めいたします。一般の物件をご購入後に許可の取得を目指す方法は、用途地域と構造設備という、ご意向では動かせない条件に左右されるためでございます。

💡 ご購入前に、その物件でどの運用が可能かをお調べいたします
物件のURLまたは販売図面をお送りいただければ、用途地域・当該自治体の条例・管理規約の三点を確認し、四つの運用モデルそれぞれの可否と収益の目安をご報告いたします。ご購入後に運用できないことが判明する事態を避けるため、物件の選定そのものより重要な工程でございます。

営業日数の制約を受けない宿泊収益をお求めの場合、旅館業許可を取得済みの一棟物件のお取り扱いがございます。市場に出る数が限られており、公開前にお問い合わせをいただくことも少なくございません。

LINEよりお気軽にお送りください。日本語・中国語いずれも対応しております。

(民泊および旅館業に関する法令・各自治体の条例は改正されることがございます。本稿は2026年8月時点の内容で、実際には官公庁の最新の公表内容および当該自治体の規定をご確認ください。許可の可否、承継によるか新規取得によるかは、行政書士および所轄の保健所にご確認をお願いいたします。融資の可否は金融機関の個別審査によります。)
📚 出典
・観光庁〈住宅宿泊事業法(民泊新法)〉観光庁(年間180日の上限、起算期間、家主不在型の委託義務)
・観光庁 住宅宿泊事業法の施行状況:2026年1月15日時点 累計届出59,427件/廃止21,315件/営業中38,112件
・観光庁〈住宅宿泊事業法に規定する届出住宅に係るゼロ日規制等について(技術的助言)〉2026年7月15日 報道発表(条例によるゼロ日規制、ICT管理の義務付け)
・厚生労働省〈旅館業法〉:旅館・ホテル営業/簡易宿所営業の許可制度、2023年12月13日改正による事業譲渡・合併・分割に伴う営業承継 厚生労働省
・簡易宿所営業の客室面積基準(原則33㎡以上、宿泊者数10人未満の場合は1人あたり3.3㎡以上)および用途地域の制限:旅館業法施行令ならびに各自治体条例、2026年時点
・東京23区の上乗せ条例の現況(新宿区:住居専用地域の平日営業不可、渋谷区・世田谷区:住居専用地域で禁止)各区条例に関する整理資料、2026年時点
・三井住友トラスト基礎研究所「マンション賃料インデックス」公式(2026年第1四半期 東京23区 前年同期比+6.7%、14四半期連続の最高値)
・マンスリーマンション相場:東京23区 1K〜1DK 1ヶ月あたり14万〜18万円(事業者公開資料、2026年)

法令および各自治体の条例は変動いたします。実際は公式の最新発表をご確認ください。本記事は一般的な情報の整理であり、投資・税務・融資に関する助言を構成するものではございません。
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